株式を分散させないための方法
作成日:2016年08月06日(土)
譲渡制限株式を定めている会社は多いと思います。会社法107条2項1号、108条1項4号です。株は自由に譲渡できるため、全然知らない人が株主として経営に参加してくることを防ぐためです。
しかし、ある株主が死亡して相続人が株を取得した場合、譲渡制限株式でも、相続人が株主になってしまいます。
相続人と話合いができればそれで良いのですが、元々の株主との関係は良好であっても、その相続人との間でも良好とは限りません。また、相続人の側で、遺産分割協議で紛争になっていた場合、株を買い取ることは極めて困難です。その間、相続人を株主として扱わなければならないことになります。
これを防ぐための方法として、相続人等に対する売渡の請求があります。会社法174条です。あらかじめ定款で定めておく必要があります。
メリットは、強制的に株を取得できるという点です。相続人が買取に応じなくても、会社は株を取得し、後は代金の支払いが残るだけです。
あまり知られていないのか、売渡の請求の定めをしている会社は、かなり少ないイメージです。
このように、相続人等に対する売渡の請求は、株の分散を防ぐと同時に、株を集約することにも使用できます。いずれ、株式を集約したいと思っている場合は、この制度を利用することによって、時間が経過すれば、株式を集約することができます。