ドタキャンあるある事例
今回は、『ドタキャンバスターズ』に関するコラムをご紹介です。
こんな時ってキャンセル料を請求できるの?
<<日本料理 Aさんの場合>>
Aさんの店にあるお客様からコース料理4名分の予約をいただきました。
Aさんは予約をいただいたとき、連絡なくキャンセルするとコース料金と同額のキャンセル料が発生することも伝えています。
当日、来店予定時間の1時間前にそのお客様から電話がありました。
しかし、Aさんもスタッフもお帰りになる他のお客様の対応に追われていて、そのお客様の電話には出られませんでした。
もちろん留守番電話にはお客様のメッセージは残されておらず、お店のホームページに書いてある代表メールにも連絡はありません。
Aさんは、すぐにお客様に折り返しの電話をいれましたが電話は繋がらず、その日、計5回お客様に電話しましたが、結局連絡の取れないまま、お店にもお見えになりませんでした。
はい。そうです。よくあるドタキャンのパターンです。
翌日にようやく連絡がつながり、キャンセル料を請求します。
すると、お客様はこのように言い返しました。
「昨日、電話したし~。でも、アンタ出なかったし~。電話でなかったアンタが悪いっしょ~。だから、キャンセル料を払うのはおかしいでしょう。」
キャンセル料の支払を拒否してきました。
この場合、キャンセル料を請求できるでしょうか?
A. 問題なく請求できます。
予約するときもそうですが、キャンセルするときも相手方に必ずきちんとその意思が伝わらないといけません。
これを意思表示の到達主義といいます。
お客様は、どのようなやむを得ない事情があったにせよ、Aさんにキャンセルする旨を必ずAさんやスタッフに伝えなければなりません。
お客様が、Aさんやスタッフにキャンセルすることを伝えていない以上、キャンセルをしたことになりません。
よって、キャンセル料を請求することは可能です。
最近の裁判例 グーグルに対する削除命令の取消し
平成28年(ラ)192号 平成28年7月12日東京高決
グーグルに対して検索結果を削除せよとの命令が、東京高裁で取り消されました(削除命令の決定)
ざっくりした事案は以下のとおりです。
Xが児童買春で逮捕→罰金刑→納付
3年後 グーグルでXを検索すると逮捕等の情報がヒット
Xがグーグルに対して検索結果がヒットしないように請求
取り消した理由として、刑の言い渡しの効力はまだ失われていないことが挙げられています。
本件は罰金を納付しているので、既に刑の執行は終了しています。
しかし、裁判所は、刑の執行が終了しているか否かよりも、言い渡しの効力が失われているか否かを重視しているようです。
取り消した理由として、検索しても逮捕等の情報に直ちにたどり着かないことが挙げられています。
本件では逮捕等の情報がヒットするといっても2400件中49件であり、上位には表示されていない事案です。
98%は同姓同名の者の別の情報が表示されており、49件であれば、個別に削除の対応をすることが不可能ともいえません。
さらに、検索結果の削除は個別の書き込みの削除比べて影響が大きいことも、取り消した理由に挙げられています。電子掲示板には逮捕等の情報とは無関係の書き込みが多数あるので、検索結果を削除するとそれらの書き込み全てが検索できなくなってしまうことを重視しているようです。
しかし、この点については、やや知る権利を過大視しているように思います。逮捕等の情報とは無関係の書き込みがあるのであれば、逮捕等の情報と無関係のキーワードで検索した場合、その電子掲示板は検索結果にヒットするので、その掲示板へのアクセスを事実上不可能にするとまでは言えないのではないでしょうか。
3つの決定理由のうち、1つについては疑問が残る裁判例です。
今後、最高裁の判断や本案の判断が明らかになると思われますが、現時点では、罰金刑の納付から5年経過していたり(刑法34条)、執行猶予期間が経過していれば(刑法27条)、刑の言い渡しが効力を失うので、削除の可能性が高くなるといえるでしょう。
また、検索結果が数百件以上あり、容易に逮捕等の情報にたどり着く事案であれば、削除が認められる可能性が高くるといえるでしょう。
最近の裁判例 住所でポン! 削除命令
平28(ヨ)103号 平成28年5月19日さいたま地決
ウェブサイト管理者に対して、氏名、住所、電話番号等の削除を命じた事案
ざっくりした事案は以下のとおり。
住所でポン!のウェブサイト管理者が、承諾なく他人の氏名、住所、電話番号を掲載
サイト管理者は、紙媒体のハローページから情報を取得
勝手に掲載された人たちが、サイト管理者に対して、削除を請求
結論として、裁判所は、削除を認めており、妥当な判断です。
本件では、債務者の審尋も行われないまま発令されています。
プライバシー侵害の場合は、名誉権や風評被害の場合と異なり、価値判断の厳密な比較まで要しない場合が多いので、削除されやすい流れでしたが、この流れを踏襲したものといえます。
また、本件の氏名、住所等は、元々、ハローページで公開されていた情報です。
氏名、住所等はプライバシーとして保護されるものですが、既に公開されているなら、プライバシーの侵害はないのではないか、ということが問題となっています。
しかし、紙媒体で配布されていたとしても、それをインターネット上で公開されることまで承諾していたとはいえません。ネットで公開されることによって、検索、閲覧の容易性が格段に高まるというネット上の特殊性を考慮したといえます。
既に公開されている情報であったとしても、被害者側から見て、公開の程度の差が大きければ削除が認められやすくなるといえるでしょう。
最近の裁判例 グーグルに対する削除命令
平27(モ)25159号 平成27年12月22日さいたま地決
検索エンジン管理者に対して、過去の犯罪歴の検索結果の削除を命じた事案