最近の裁判例 住所でポン! 削除命令
平28(ヨ)103号 平成28年5月19日さいたま地決
ウェブサイト管理者に対して、氏名、住所、電話番号等の削除を命じた事案
ざっくりした事案は以下のとおり。
住所でポン!のウェブサイト管理者が、承諾なく他人の氏名、住所、電話番号を掲載
サイト管理者は、紙媒体のハローページから情報を取得
勝手に掲載された人たちが、サイト管理者に対して、削除を請求
結論として、裁判所は、削除を認めており、妥当な判断です。
本件では、債務者の審尋も行われないまま発令されています。
プライバシー侵害の場合は、名誉権や風評被害の場合と異なり、価値判断の厳密な比較まで要しない場合が多いので、削除されやすい流れでしたが、この流れを踏襲したものといえます。
また、本件の氏名、住所等は、元々、ハローページで公開されていた情報です。
氏名、住所等はプライバシーとして保護されるものですが、既に公開されているなら、プライバシーの侵害はないのではないか、ということが問題となっています。
しかし、紙媒体で配布されていたとしても、それをインターネット上で公開されることまで承諾していたとはいえません。ネットで公開されることによって、検索、閲覧の容易性が格段に高まるというネット上の特殊性を考慮したといえます。
既に公開されている情報であったとしても、被害者側から見て、公開の程度の差が大きければ削除が認められやすくなるといえるでしょう。